アメリカン・ロックの歴史に大きな足跡を残したバンド「KISS」。あの独特なメイクが有名だが、世界的ビッグバンドとなったのは、もちろん曲が良かったからだ。膨大なソングリストの中から、自分的名曲を挙げてみる。
Black Diamond/ブラック・ダイヤモンド
ファーストアルバム「KISS/地獄からの使者」(1974年)のラストを飾る曲。私が初めて聴いたのは「ALIVE!/地獄の狂獣」(1975年)だったので、スタジオ版ではあのギターアルペジオのイントロがなかったことに違和感があった。さらにアウトロは「いつ終わんねん」というくらい長々と続く。メインボーカルはピーター・クリス。なぜポールが自分で歌わなかったのかは不明だが、ハスキーなシャウトが曲に合っていたことは間違いない。トリビュートアルバム「KISS My Ass」では当初日本盤だけに収録予定だったYoshikiのカバーが、あまりにできが良かったためにオリジナルバージョンに加えられたという逸話もある。
Deuce/デュース
初期のライブでは長らくオープニング曲として演奏されていた。もちろん「ALIVE!」でも、「The Hottest Band in the land—–」(この頃はまだ world ではなく land)の後、あの印象的なフレーズが始まる。KISSのリフには開放弦をうまく使ったものが多いが、特にこのイントロは5弦のA音とハイポジションを組み合わせて音の厚みを出している。
Detroit Rock City/デトロイト・ロック・シティー
KISS史上最高のスタジオ・アルバム「Destroyer/地獄の軍団」の1曲目を飾る。ALIVE!でようやく売れたバンドが初めてお金をかけて作った1枚だが、プロデューサーのボブ・エズリンが凝りに凝って作り上げた。初期の頃から熱狂的な支持をしてくれたデトロイトのファンへのお礼の1曲だ。QUEENでいうところの「手を取り合って」だろうか。
C’MON AND LOVE ME/激しい愛を
サード・アルバム「DRESSED TO KILL/地獄への接吻」のB面1曲目。ポールの「軽い妖艶さ」が完璧に表現された曲だ。この歌詞で「外国の曲は韻を踏む」ということを初めて意識した。KISSが初来日した数年後だったと思うが、日本の女性バンド「ガールズ」がテレビ(NHKだったような)で演奏していて話題になった。
LOVE GUN/ラヴ・ガン
生まれて始めてアルバムを予約して購入したのが同名アルバムだった。ミュージック・ライフの先行記事では「愛の銃」というタイトルだと書かれていた記憶がある。まあ、そうなんですけど。
ROCK’N ROLL ALL NITE/ロックン・ロール・オール・ナイト
KISSといえばこの曲、と思っている人も多いだろう。そうしておこう。
STRUTTER/ストラッター
ファーストアルバムのA面1曲目。つまりKISSが世に出てきた曲だ。「a thing or two」という表現方法をここで覚えた。アレンジが気に入らなくて、後にベストアルバム「ダブル・プラチナム」で別テイクを発表した。ボーカルがあまりシャウトするところがなくて落ち着いて聴ける。
GOD OF THUNDER/雷神
なにしろゴッドだから大変だ。ポールが作ってジーンが歌った曲。もともとそういうつもりだったのかもしれないが、結果的にこのリフを弾きながら歌うのは難しいと思うので、それでよかった。「蝋人形の館」はたぶんこの曲にインスパイヤーされている。
HARD LUCK WOMAN/ハードラックウーマン
「ROCK’N ROLL OVER/地獄のロックファイヤー」に収められたバラード。おそらく前作アルバムで「BETH/ベス」が予想外にヒットしたので、もう1曲ハードロックじゃないやつを出そうということだったと推測するが、アコースティックギターをふんだんにフィーチャーしたこの曲は、後にカントリー歌手もカバーする名作となった。今でいうMVでは1本のダブルネックギターをポールとエースが一緒に弾くという「二人羽織奏法」を披露している。
100,000YEARS/10万年の彼方
「ALIVE!」で12分に渡って繰り広げられるパフォーマンスに度肝を抜かれた。ピーター・クリスのドラムソロを含め、KISS史上最長の曲となっている。「You must have been a bitch when I was gone」なんていう歌詞、今ではもう書けない。
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